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肝臓の毒になる「お酒じゃない」飲み物、医師が警鐘「肝細胞を破壊」「とてつもないダメージ」ン

みんな大好きな「甘い食べ物」には果糖がいっぱい。そして、この果糖こそが、肝臓に甚大なダメージを与える最大の「毒」である。肝臓専門医が果糖のヤバさに警鐘を鳴らす。本稿は、尾形哲『甘い飲み物が肝臓を殺す』(幻冬舎新書)の一部を抜粋・編集したものです。

● 果糖こそが健康に害を及ぼす 「悪玉糖」である 「果糖の怖ろしさ」について述べましょう。 みなさんの中には、「果糖」に対して「体にいい糖」のようなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。おそらく、フルーツにフレッシュで健康的なイメージがあるため、「フルーツに多い糖=果糖」は、わりと健康にいいものなんじゃないかと思うのかもしれません。 しかし、その“健康的イメージ”は、もうこの場できっぱりと捨て去ってしまうほうがいいでしょう。そして逆に、「果糖こそは健康に害を及ぼす『悪玉糖』である」と、認識を改めることをおすすめします。 ただ、先にちょっと「おことわり」を入れておくと、果糖が悪玉糖であるとはいえ、オレンジ、バナナ、リンゴなどのフルーツをそのまま皮をむいて食べたりする分には、そう大きな問題はないのです。むしろ、そういうかたちでデザートに少量のフルーツを食べるのであれば健康にいいとさえ言えるかもしれません。 ところが、こうしたフルーツから繊維を取り去ってゼリーや液体にしてしまうと、とたんに肝臓に直接大ダメージをもたらす怖ろしいヤツに変身してしまうのです。

脂肪肝や糖尿病に陥って 大きな後悔をする前に それと、果糖は別にフルーツだけに入っているわけではありません。甘い飲み物や加工食品などに甘味成分として加えられている果糖ブドウ糖液糖は、「果糖」という名を冠してはいるものの、フルーツとはまったくもって無関係であり、主にトウモロコシを原料にして果糖成分だけを抽出してつくられた「人工の精製液体シロップ」です。 ここで「悪玉」扱いをしている「果糖」も、どちらかというと、「トウモロコシからつくられた果糖の多い精製液体シロップ」のほうをメインの対象にしていると思っていただいてけっこうです。とりわけ、甘い飲み物に大量に含まれた「果糖の多い精製液体シロップ:果糖ブドウ糖液糖」は、肝臓にとって“毒”に等しいと見なすくらいのほうがいいと私は考えています。

とにかく、「果糖だから安心」なんていうスタンスで果糖がたくさん入った飲み物を常飲していたら、いずれ手痛いしっぺ返しを食らうのは目に見えています。「悪玉糖」によるダメージが着実に蓄積し、脂肪肝や糖尿病に陥って大きな後悔をするハメになると思っておいたほうがいいでしょう。

● 肝臓の脂肪蓄積を促進させる 果糖の恐ろしい性質 それにしても、なぜ、果糖ばかりがこんなにも肝臓によくないと言われるのでしょうか。その最大の理由は、果糖に「肝臓でしかエネルギーとして利用されない」という(他の糖にはない)特徴があるからです。 ブドウ糖と果糖のいちばん大きな違いは、この点にあります。ブドウ糖の場合、血液を通して全身の細胞を回ってエネルギーとして利用され、そのうえで余ったブドウ糖が肝臓内で代謝されることになります。 言わば、ゆっくりと全身を周遊してきた中の「行き先が決まらず、エネルギーとして使われなかった“あぶれ者たち”」が肝臓へ行って厄介をかけることになるわけです。そのため、肝臓で代謝されるブドウ糖は、血中ブドウ糖全体のうちの2割ほどにすぎません。 ところが、果糖の場合、体内に入ってきた果糖のほとんど全員が一気に肝臓に押し寄せることになるのです。要するに、腸に到着したらすぐ「肝臓に直行するコース」がスタンダードになっていて、量的にも速さ的にもブドウ糖よりもはるかに大きい負担を肝臓に与えることになるわけですね。

しかも、果糖は、ブドウ糖よりも肝臓内の脂肪蓄積を進行させやすく、脂肪化する量も多ければ、脂肪化するスピードも速いのです。 このように、「肝臓でしかエネルギーとして利用されない」という特徴があるために、果糖は、「量」と「スピード」の両面において、他の糖とは比べ物にならないほどの負担を肝臓にかけることになるわけです。 肝臓にしてみれば、「直行ルート」を通して、毎日のようにとんでもない量の仕事が次から次に押し寄せてくるようなものでしょう。そういうオーバーワークが延々と続けば、あまりの負担に疲れ果ててしまうのも当然ではないでしょうか。

● ブドウ糖と果糖の違い 超高速で容赦なく脂肪がつく ここでちょっと、肝臓内で果糖が代謝される機序を説明しておきましょう。 腸への到着後、「肝臓直行ルート」を通って肝臓に入ってきた果糖は、まず肝細胞の燃焼器官であるミトコンドリアで処理されることになります。ミトコンドリアは細胞内のエネルギー生成器官。通常、果糖はミトコンドリアにおいて肝細胞のエネルギー源として利用されるのですが、その処理能力には限界があります。 つまり、ミトコンドリアのキャパをオーバーした大量の果糖が入ってきてしまうと、肝細胞内で未処理の果糖がたくさんあふれることになる。そして、それらの果糖がどんどん中性脂肪へと変換されて、細胞内にたまっていくのです。 それに、果糖の脂肪化はインスリンを必要としません。ブドウ糖の場合はインスリンの出方次第で脂肪化の進み具合に影響が出るのですが、果糖の場合はインスリンの手間をかけることなくスピーディーに脂肪生成が進むことになります。 このため、普段から過剰に果糖を摂っていると、“超高速で”“容赦なく”“大量の”脂肪がつくられていき、結果、そう時間をかけることなく、肝細胞が脂肪でパンパンにふくらんでしまうような状況になるわけです。 さらに、果糖の過剰摂取は、肝細胞を破壊することにもつながっていきます。それというのも、果糖が過剰に入ってくると、果糖の処理を一手に引き受けているミトコンドリアの機能に障害が発生してしまうのです。

● 果糖ドリンクの肝臓攻撃力は まるで「誘導ミサイル」 つまりこれは、過剰な果糖が肝細胞のミトコンドリアを直接攻撃するようなもの。この攻撃を受けるとミトコンドリアが弱って、細胞のエネルギー源であるATPをうまくつくれなくなってしまいます。 すると、エネルギー不足になった肝細胞が大混乱に陥り、ミトコンドリアの脂質異常が発生したり、細胞障害性のある活性酸素が増産されたりと、しっちゃかめっちゃかの状態になってしまいます。

そして、こういった混乱状態が続くことで肝細胞が次々に破壊されていってしまうわけです。要するに、果糖は、ブドウ糖よりも肝臓に量的な負担をかけるし、脂肪肝を進ませるのも速いし、何よりダイレクトにミトコンドリアを攻撃して肝細胞をてきめんに弱らせてしまうのだということ。これは、ブドウ糖のもたらすダメージレベルと比較すると、ちょっと想像を絶するようなすさまじい破壊力なんですね。 少々たとえは不謹慎かもしれないのですが、果糖が肝臓を破壊してしまうダメージインパクトは、「誘導ミサイル」をズドンズドンと打ち込んでいるようなものでしょう。とりわけ甘い飲み物などの液体の果糖ミサイルは、発射されたら最短距離・最短時間で誘導されたかのように肝臓に着弾します。当然、肝臓という街は、誘導ミサイル着弾によってめちゃくちゃに破壊されてしまうことになります。 こうした果糖の戦慄の破壊力に比べると、ブドウ糖の攻撃力はだいぶ規模が落ちます。あえてたとえるなら、「歩兵」が全身を回りながら何日もかけてゆっくり攻め込んでくるようなものでしょうか。 しかも、このブドウ糖という歩兵たちが肝臓に対して脂肪化攻撃をしかけるにはインスリンという“号令”も必要になってきます。ダイレクトに打ち込んでくる果糖ミサイル攻撃に比べると、手間や時間をかけて遠回りに攻め込んでくることになるため、肝臓に与えるインパクトも多少ソフトなものになるでしょう。 どうでしょう。みなさん、日々わたしたちが何気なく摂取している果糖が、どんなにとてつもないダメージを肝臓にもたらしているのか、その「怖ろしさ」や「コトの重大さ」が少しずつつかめてきたでしょうか。

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