総務省が発表した2024年の家計調査によると、ふたり以上の世帯の月間平均消費支出は30万243円となり、物価変動を除いた実質支出は前年同期比で1.1%減少した。消費支出の減少は2年連続であり、個人消費の回復にはまだ時間がかかると見られる。
一方、国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、給与所得者の平均年収は約460万円。可処分所得の伸び悩みが続くなか、家計の支出を見直す動きが活発化している。そのなかでも、大きな固定費のひとつである「クルマの維持費」に注目が集まるのは当然の流れといえる。
パーク24が実施した「クルマの維持費」に関する調査(2025年2月7日発表)によると、クルマを保有しない人の約3割が「維持費の負担」を理由にクルマを手放している。では、こうした決断は本当に「賢明な選択」と言えるのだろうか。
見落とせない移動負担
タイムズクラブ会員5244人を対象に行われた調査の結果(画像:パーク24)
今回の調査では、クルマ保有者の44%が月額2万円以下の維持費で済んでいる一方、2万円を超える層も増加傾向にある。とりわけ影響が大きいのは
・ガソリン価格の上昇
・自動車保険料の値上げ
だ。さらに、車検代や税金といったコストも家計に重くのしかかる。
維持費の負担が増すなかで、特に都市部では
「カーシェアリングや公共交通の活用で十分ではないか」
という考えが少しづつ広まりつつある。しかし、クルマを手放したことで生じるデメリットにも目を向ける必要がある。
クルマの維持費削減は短期的には家計にプラスの影響をもたらす。しかし、移動コストの総額を考えたとき、それが本当に合理的な選択であったかは慎重に検討すべきだ。
例えば、都市部であれば鉄道やバスの利用が中心となるが、週末の遠出や雨の日の移動ではタクシーやレンタカーを使う機会が増えるだろう。
仮に月に2回レンタカーを利用し、1回あたり1万円かかるとすれば、それだけで月2万円の出費となる。さらに、日常的にタクシーを利用する機会が増えれば、年間の交通費は予想以上に膨らむ可能性がある。
また、地方都市や郊外では公共交通の利便性が低く、クルマなしでは生活の自由度が大きく制約される。特に通勤や子どもの送迎が必要な世帯では、クルマを手放すことで日々の負担が増えるケースも少なくない。
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